市川崑監督の革新的な視点が光る本作は、幼児の瞳を通して世界を再定義する映像魔術に満ちています。主観ショットを駆使して描かれる日常は、大人が忘れた驚きや恐怖、生命の躍動を鮮烈に突きつけます。計算し尽くされたアングルと色彩美が、子供の成長という神秘をエモーショナルに描き出す、極めてモダンな映像体験です。
山本ふじこと船越英二が演じる夫婦の、戸惑いながらも親になっていく姿は、時代を超えて観る者の心に共鳴します。育児の過酷さと喜びをユーモアで包み込む本作は、命を繋ぐことの尊さを謳い上げる至高の人間讃歌です。混沌とした家庭の中に真実の愛を見出す演出は、今なお色褪せない輝きを放っています。