あらすじ
第64回日本推理作家協会賞長編および連作短編集部門受賞 自然の要塞であったはずの島で、冒険者にして偉大なるソロンの領主は暗殺騎士の魔術に斃(たお)れた。卑劣な魔術に蝕まれ操り人形と化した〈走狗(ミニオン)〉の正体を突き止めるべく、領主の娘アミーナは騎士ファルク・フィッツジョンらとともに行動を開始する。〈走狗〉候補の八人の容疑者、謀略により沈められた封印の鐘、鍵のかかった塔上の牢から忽然と消えた不死の青年──そして、甦った「呪われたデーン人」の襲来はいつ? 魔術や呪いが跋扈する世界の中で、推理の力は果たして真相に辿り着くことができるのか? 第64回日本推理作家協会賞受賞ほか、各種年末ミステリ・ランキングで上位を総なめにした、俊英渾身の本格推理巨編。
ISBN: 9784488451080ASIN: 448845108X
作品考察・見どころ
本書は、魔法が支配する中世ファンタジーに厳格な本格推理のロジックを叩き込んだ野心作です。米澤穂信氏は魔術を「解くべきルール」として再定義し、幻想と論理を完璧に融合させました。冷徹な真相究明は、不条理な暴力が支配する時代における、知性の勝利を鮮烈に象徴します。 極限状態のアミーナが直面する葛藤と、圧倒的恐怖を前に浮かび上がる人間の尊厳。虚構の力で人間の本質を抉り出す本作は、ミステリの可能性を極限まで広げた記念碑的一冊です。終焉に待ち受ける、美しくも残酷な論理の輝きは、読書観を根底から覆すはずです。