柚木麻子/伊吹有喜/井上荒野/坂井希久子/中村航/深緑野分
「料理」をめぐる極上の7つの物語うまいものは、本気で作ってあるものだよーー最高級の鮨&ワイン、鮪の山かけと蕗の薹の味噌汁、カリッカリに焼いたベーコンにロシア風ピクルス……おやつに金平糖はいかがですか?物語の扉をそっと開ければ、今まで味わった事のない世界が広がります。小説の名手たちが「料理」をテーマに紡いだとびきり美味しいアンソロジー。【本書登場の逸品たち】塩むすびと冷たい緑茶ハルピンのイチゴ水全粒粉のカンパーニュに具を挟んだサンドイッチきときとの富山の海の幸・ゲンゲ汁生クリームと栗の甘煮のパンとアイスコーヒー食堂のカレーライスと福神漬星屑のような白い金平糖
実力派作家六名が競演する本作は、食を単なる栄養摂取ではなく、魂の欠損を埋める祈りとして描き出しています。塩むすびの温かみから異国の香りに至るまで、巧緻な筆致で綴られる料理の数々は、時に登場人物の孤独を癒やし、時に抑圧された情熱を静かに点火させます。読み手は文字を追ううちに、味覚だけでなく視覚や嗅覚までもが激しく揺さぶられる、極上の没入感を味わうでしょう。 食卓という日常の最小単位に凝縮された人間ドラマこそが、本書の文学的醍醐味です。各著者の個性がスパイスのように効いており、一皿の料理が運命を変える瞬間の煌めきが見事に活写されています。それは生きることへの渇望を肯定する、まさに言葉で編まれた饗宴。読後、あなたの心には決して消えることのない豊かな余韻が、芳醇なソースのように残るはずです。