あらすじ
この物語は、あなたの人生を支えてくれる
宙には、育ててくれている『ママ』と産んでくれた『お母さん』がいる。厳しいときもあるけれど愛情いっぱいで接してくれるママ・風海と、イラストレーターとして活躍し、大人らしくなさが魅力的なお母さん・花野だ。二人の母がいるのは「さいこーにしあわせ」だった。
宙が小学校に上がるとき、夫の海外赴任に同行する風海のもとを離れ、花野と暮らし始める。待っていたのは、ごはんも作らず子どもの世話もしない、授業参観には来ないのに恋人とデートに行く母親との生活だった。代わりに手を差し伸べてくれたのは、商店街のビストロで働く佐伯だ。花野の中学時代の後輩の佐伯は、毎日のごはんを用意してくれて、話し相手にもなってくれた。ある日、花野への不満を溜め、堪えられなくなって家を飛び出した宙に、佐伯はとっておきのパンケーキを作ってくれ、レシピまで教えてくれた。その日から、宙は教わったレシピをノートに書きとめつづけた。
全国の書店員さん大絶賛! どこまでも温かく、やさしいやさしい希望の物語。
ISBN: 9784093866453ASIN: 4093866457
作品考察・見どころ
町田そのこ氏が描く本作は、血縁を超えた家族の形を問う魂の救済の物語です。二人の母の間で揺れる宙の機微を、著者は残酷なリアリティと慈愛に満ちた筆致で綴ります。親になりきれない大人の孤独と、その背中を見て成長する子供の切実な祈りが、読者の胸を激しく揺さぶります。 鍵を握るのは、言葉にできない想いを昇華させる料理の存在です。レシピノートに刻まれるのは単なる献立ではなく、自らの足で立ち、他者を愛そうとする意志そのもの。一皿のごはんが絶望を希望へ塗り替える過程は、緻密な心理描写によって私たちの原風景を呼び覚まします。人生の荒波に立つすべての人に、至高の温もりを届ける傑作です。