黒坂洋介/YosukeKUROSAKA
シンプルな暮らしに憧れる。それはモノを減らして我慢に耐える生活ではない。自分の優先順位を明確にして、大切なものを存分に楽しむライフスタイルである。日本には「わび」「さび」「幽玄」など簡素さの奥に深い美を感じる伝統があった。今また地球環境や経済システムに持続可能性を求める文脈から、外面をシンプルに内面を豊かにという生き方を支持する人が増えている。複雑でノイズに満ちたこの社会でシンプルライフをめざすとき、まずは不要なものを削っていく。削って削って最後に残るものはなにか。この問いには明解に答えられる。呼吸である。思想、信条、文化、時代、性別などあらゆる違いを超えて、人間にとって最重要なものは呼吸だからだ。では呼吸を中心に置いた暮らしは、どのようにデザインできるか。本書はそのアイデアを提示するものである。私はこれまでに「水の呼吸シリーズ」という25冊の電子書籍を刊行し、多種多様な呼吸法を紹介してきた。本書ではただひとつ「くらげ呼吸法」をピックアップし、ひたすらそれを磨き上げることで簡素に生きる方法を模索する。呼吸は身体の多くの部分が関与する複雑な現象である。どこに着目するかによってさまざまな呼吸法を創作することができる。そして目的や用途に応じてそれらを「使い分ける」ことには意味がある。けれども身体はひとつだし1日は24時間しかない。したがって、ひとつの呼吸法を「使いこなす」こともまた、現実的に大きな意味があると考える。それはまたシンプルでゆたかなライフスタイルにつながるはずである。本書があなたの視界をクリアにし、生活をすっきりさせるお役に立つなら、これに勝る喜びはない。日英対訳(Japanese-English Bilingual)