あらすじ
この物語の主人公は、世間一般でいうダメ男である。31歳。大学中退後コーヒーにはまり起業したものの失敗。6年前から無職のニート。自分でも何とかしたい気持ちはある。だが彼には口げんかだけは誰にも負けない…。という特殊能力があり、ヘリクツを駆使し、自分のダメさを誤魔化し続けて生きてきた。ところが…。「マイホーム建て替えのため一時避難で転がり込んでくる姉家族」によって彼の人生が一気に動き出す…。果たして彼はこの災難を乗り越え、自立する事が出来るのか…? これは「変わるのが怖い、しんどい」がゆえにヘリクツをこきまくるダメ男の、奮闘や挫折やしょうもなさと、それに翻弄されながら絆を深めていく家族を笑いながら見守るホームドラマです。
作品考察・見どころ
本作の最大の魅力は、屁理屈を芸術の域まで高めた圧倒的な会話劇の応酬にあります。茶の間という限定された空間で、生田斗真演じる主人公が放つ正論めいた屁理屈は、単なる怠惰の言い訳を超え、現代社会の固定観念を軽やかに解体していく快感を与えてくれます。日常の些細な摩擦を、最高級のエンターテインメントへと変貌させる脚本の筆致は実に見事です。
実力派キャストたちのアンサンブルも白眉であり、特に小池栄子との姉弟喧嘩のシーンで見せる、間を心得た阿吽の呼吸は職人芸の域に達しています。ダメな自分を否定せず、理屈を捏ねながらも家族と向き合い続ける姿には、停滞しているすべての人を肯定するような力強い優しさが宿っています。言葉の力で世界を再構築する、テレビドラマの可能性が詰まった傑作です。