本作の真骨頂は、映画製作の舞台裏で老境の名優が抱く矜持と孤独を、ヘンリー・ヒュプヒェンが圧倒的な存在感で体現している点にあります。虚構と現実が交錯する中で自分を演じ続ける滑稽さと悲哀が、鋭いユーモアと共に描かれます。実力派キャストが火花を散らす濃密な演技合戦は、一瞬たりとも目が離せない凄みに満ちています。
人生の黄昏時を酒になぞらえ、世代交代の残酷さと生の煌めきを映す演出は実に見事です。過ぎ去った時間への愛惜と今を生きる覚悟を問いかける本作は、観る者の魂を激しく揺さぶります。大人の色香と皮肉が入り混じる芳醇な人間ドラマとして、心ゆくまで堪能してほしい傑作です。