本作の最大の魅力は、伝説的女優ダイアナ・ドースが放つ圧倒的な生命力と、労働者階級のしたたかさを笑いに昇華した脚本の妙にあります。彼女が演じる家長は、まさに高層公営住宅という現代の「城」を守る女傑であり、その堂々たる佇まいは、困難な日常を力強く笑い飛ばすエネルギーに満ちています。
単なるコメディに留まらず、コンクリートに囲まれた閉塞感の中で、いかにして家族の絆と個人の尊厳を保つかという普遍的なテーマを突いています。キャスト陣の絶妙な掛け合いは、泥臭くも愛おしい人間模様を鮮烈に描き出し、観る者に明日を生きるための活力と、剥き出しの人間愛を突きつけてくる傑作です。