湿り気を帯びたスペインの空気感が、人間の業と執着を抉り出す心理スリラーの傑作です。時を超えて交錯する二人の女性教師の運命が、静謐ながらも息詰まる緊張感で描かれます。インマ・クエスタとバルバラ・レニーの魂がぶつかり合う熱演は、観る者の心を激しく揺さぶる圧倒的な美しさを放っています。
原作者自身が監督を務めたことで、小説の緻密な心理描写が霧深いガリシアの映像美へと見事に昇華されました。映像ならではの沈黙や視覚的な対比が、言葉以上の不安と官能を増幅させています。誰かが遺した混沌が生きる者の毒となる残酷さを、これほど情熱的かつ冷徹に描ききった作品は他にありません。