本作は単なる成功者の記録ではなく、アメリカの野心と欲望が結実した「神話」の解剖学です。一族の歴史を縦糸に、狂乱の時代を横糸にして、個人の執念が巨大なブランドへ変貌する様を浮き彫りにします。勝つことへの異常な固執と、その裏に潜む継承された歪みが、冷徹かつドラマチックな視線で鮮烈に提示されています。
膨大な映像から浮かび上がるのは、演出された自己の重層性です。ドキュメンタリーでありながら、シェイクスピア悲劇のような重厚な密度を誇ります。富と名声がもたらすカタルシスと、代償として失われるものの対比は、成功の本質とは何かという鋭い問いを我々に突きつけて止みません。