1992年、スペイン中を震かんさせた3人の少女殺害事件。関係者へのインタビューと新たな証拠分析から惨劇の全容を洗い出し、事件が残した爪痕を浮き彫りにする。
本作が突きつけるのは、単なる未解決事件の追及を超えた、メディアによる「悲劇の消費」という残酷な鏡です。膨大なアーカイブ映像と当事者たちの証言を緻密に編み込み、九十年代のスペイン社会を狂乱させた報道の在り方を、冷徹かつエモーショナルな視座で解剖しています。視聴者はいつしか、事件そのものよりも、人々の欲望が真実を歪めていく底なしの深淵に立ち会わされることになります。 遺族の執念や専門家たちの対立が映し出すのは、正義という名の暴力性です。本作は、証拠の不確実さや陰謀論の蔓延をドキュメンタリー特有の重厚な演出で描き切り、情報の奔流に飲み込まれる現代の私たちに強烈な警鐘を鳴らします。映像でしか成し得ない圧倒的なリアリティによって、観る者の倫理観を激しく揺さぶり、忘れがたい衝撃を刻みつける傑作です。
音楽: Federico Jusid / Adrián Foulkes
制作会社: Bambú Producciones