本作の真髄は、トラウマと現実が溶け合う境界線の描き方にあります。主人公が抱く悪夢が日常を侵食する過程は、心理的な圧迫感を極限まで高めます。ミッチェル・アンダーソンの繊細な演技は、観客を目に見える恐怖以上の不安へと誘い込み、混濁した精神状態を克明に表現しています。
脇を固めるサンダー・バークレーの怪演も白眉で、視覚的なショックに頼らず静寂で疑心暗鬼を煽る演出は見事です。真相の先に待ち受ける衝撃は、信頼の脆さを鋭く突きつけ、鑑賞後も消えない強烈な余韻を約束します。80年代スリラーの隠れた傑作として、その構築美をぜひ体感してください。