本作の最大の魅力は、柏木由紀演じるミステリアスな年上女性と、伊藤健太郎演じる恋愛経験ゼロのサラリーマンという、両極端な二人の間に生まれる予測不能な化学反応にあります。静謐ながらも熱量を孕んだ将棋の対局シーンが、二人の距離を縮める官能的な暗喩として機能しており、単なるラブコメディの枠を超えた濃密な緊張感を生み出している点が非常に秀逸です。
不器用すぎるほど純粋な想いが、時に滑稽で、時に胸を締め付けるほど切なく描かれる本作は、一歩踏み出す勇気が世界を変えるという普遍的なメッセージを投げかけます。登場人物たちの繊細な表情の変化を逃さないカメラワークが、言葉以上に多くを語り、観る者の心に眠る純真さを激しく揺さぶり起こしてくれるでしょう。