ジャネット・ノーラン演じる型破りな老婆サリィの圧倒的な人間力が、本作の最大の輝きです。西部劇という硬派な舞台で、毒舌とユーモアを武器に逞しく生き抜く彼女の姿は、既存のヒーロー像を心地よく覆してくれます。若き相棒サイラスとの世代を超えた絆も、洗練された掛け合いによって重層的なドラマを生み出しており、キャストの演技力が光る珠玉のアンサンブルを堪能できます。
本作はコメディの軽妙さを纏いながらも、根底には人生をいかに主体的に謳歌するかという力強いメッセージが流れています。伝統的なウェスタンの美学に、泥臭いまでの生命力と温かな人間愛を融合させた演出は実に見事です。荒野をゆく二人の旅路は、現代を生きる私たちの背中をも力強く押してくれる、色褪せない魅力を放っています。