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本作の圧倒的な魅力は、良き父母としての平穏な日常と、血塗られた国家犯罪という相反する二面性が同居する「狂気の日常性」を冷徹に描き出した点にあります。郊外の邸宅で知的な会話が弾む裏で、凄惨なテロ計画が淡々と練られる。その異様な静謐さと緊張感は、観る者の倫理観を根底から揺さぶり、歴史の闇に潜む悪の凡庸さを鮮烈に浮き彫りにします。 主演のマリアナ・ロヨラが見せる、母性と冷酷さを併せ持った氷のような演技は必見です。国家という大義名分のもとで人間性が摩耗していく様は、単なる犯罪劇を超え、個人が権力の歯車と化した際の根源的な恐怖を突きつけます。静かに日常を侵食していく暴力の影を凝視する、真に野心的な映像体験と言えるでしょう。
監督・制作: Esteban Larraín
制作会社: Invercine&Wood