この作品の真髄は、事件が起きない停滞の中にこそ人間の滑稽さと愛おしさが凝縮されている点にあります。張り込みという緊迫した状況下で繰り広げられる、あまりにも人間臭く、時に哲学的な無駄話の応酬。沈黙さえも雄弁な武器にする緻密な構成と、あえて何も起こさない勇気が、観る者をシュールな快楽へと引きずり込みます。
ティム・メドウスをはじめとする演者たちの息を呑むような掛け合いは、アニメーションという自由な翼を得てさらなる高みへ到達しました。実写の枠を超え、キャラクターの思考の飛躍を視覚的に拡張した演出は実に見事です。虚脱感の中に真理が宿る、現代コメディの到達点とも言える傑作を、ぜひその目で目撃してください。