あらすじ
岐阜県と東京を舞台に、ちょっとうかつだけれど失敗を恐れないヒロインが、高度成長期の終わりから現代までを七転び八起きで駆け抜ける、およそ半世紀の物語。
作品考察・見どころ
本作が放つ最大の魅力は、挫折を単なる「終わり」ではなく「創造の源泉」へと転換させる、圧倒的な生の肯定感にあります。左耳の失聴という喪失を抱えながらも、規格外の想像力で人生の荒野を突き進むヒロインの姿は、観る者の停滞した魂を激しく揺さぶります。永野芽郁が見せる、瑞々しさと泥臭さが同居した魂の演技は、ままならない現実を突破していく勇気そのものを体現しています。
佐藤健が体現する静謐な存在感との対比も見事であり、数十年を跨いで響き合う二人の魂の邂逅は、単なる恋愛を超えた人生の深淵を感じさせます。北川悦吏子による鋭利で詩的な台詞回しが、過ぎゆく時代の色彩を鮮やかに切り取っており、不完全な日々こそが何よりも愛おしいのだと教えられます。青空の半分が雨雲に覆われていても、その向こう側を信じたくなる、至高の人間讃歌です。