本作は、結婚を「制度」ではなく「個の救済」として描き直した現代の聖書と言えるでしょう。合理主義を貫く男と夢を追う女、対極な二人が織りなすドライな関係が熱を帯びる過程は圧巻。既存の価値観に縛られ、居場所を失った現代人の孤独を、哲学的な眼差しで優しく包み込む構成が見事です。
イ・ミンギの静謐な佇まいとチョン・ソミンの豊かな表現力は、人生の機微を鮮烈に伝えます。「今世は誰もが初めて」という救いに満ちたメッセージは、不器用な大人たちの背中を静かに押してくれるはず。洗練された演出が日常を輝かせる、魂に響く至高のドラマです。