骨董店『香蘭堂』でアルバイトをする画学生・倉橋永莉は、古びたカットグラスの中に映る金髪碧眼の可憐な少女に思いを寄せ、人ならぬ幻との逢瀬を秘かに楽しんでいた。しかし、それは“呪われし器物”が引き寄せた宿命の二人の悲劇の始まりであった……。
新房昭之監督の耽美な映像美学が凝縮された傑作です。光と影、鮮烈な「赤」が織りなすゴシックホラーの世界観は、観客の視覚を麻痺させる魔力に満ちています。美しさの裏の残酷さや、芸術への盲目的な執着をあぶり出す独創的な演出は、今なお色褪せることなく鮮烈な印象を残します。 斎賀みつきが体現する青年の苦悶と、井上麻里奈の儚くも残酷な声の演技は圧巻です。二人の声が重なり合う時、愛と狂気の境界は消え、私たちは救いのない迷宮へ引き込まれるでしょう。これは物語を消費するのではなく、その呪われた美しさに魂を浸すための、唯一無二の芸術的な映像体験なのです。
音楽: 梶浦由記
制作会社: Daume