この作品の真髄は、郊外の「良き母親」たちが生存をかけてモラルの境界を軽やかに踏み越えていく、その危ういスリルにあります。主演三人が体現する圧倒的な連帯感は、観る者に背徳感を超えた爽快感を与えます。パステルカラーの穏やかな日常に冷徹な犯罪の影が滑り込む演出の妙は、現代社会で抑圧された女性たちの叫びを、痛烈なブラックユーモアを交えて鮮烈に描き出しています。
特筆すべきは、犯罪世界の男とベスの間に流れる濃厚な磁力と緊張感です。家父長制や経済格差への皮肉を内包した物語は、正しさと悪の境界を激しく揺さぶります。追い詰められた末に欲望を肯定し、自らの価値を再定義していく彼女たちの覚醒は、魂の咆哮そのもの。一度見始めれば、その甘美な毒気とドラマチックな展開の虜になることは間違いありません。