現代社会を生きる誰もが直面し得る燃え尽きという深刻なテーマを、驚くほど軽やかで鋭いユーモアへと昇華させた点に本作の真髄があります。完璧主義の檻から解き放たれていく主人公の姿は、単なる再生劇に留まらず、観る者の心に潜む正しさへの強迫観念をやさしく、時に痛烈に解きほぐしてくれるでしょう。
主演のソフィー・カデューによる、脆さと強さが同居した圧倒的な演技は必見です。彼女が見せる繊細な表情の変化や、家族との不器用で愛おしい掛け合いは、映像作品ならではの親密な空気感を見事に生み出しています。どん底から始まる人生の愛しさをポジティブに描き出す、極上のヒューマンドラマとして心に深く刻まれる一作です。