あらすじ
初恋の人を奪った親友の息子を20年の歳月をかけ調教する女。恋愛小説の名手・山田詠美が描く絢爛豪華な愛憎劇が今、幕を開ける。高級ホテルの一室で、ある美しい青年の体をいとおしむように拭く、敏腕編集者の高中真由子(中山美穂)。彼女との密接な関係を持つその青年は、真由子の親友・朝倉百合(高岡早紀)と初恋の人・澤村諒一(田辺誠一)の子であった。真由子は百合と出会った少女時代からなんでも欲しがる彼女に大切なものを奪われてきた。ある日、「諒一との子どもができた」という百合の告白で幕を開けた、20年に及ぶ真由子の復讐とは……。
作品考察・見どころ
静謐な狂気が漂う本作は、復讐を教育という名の芸術へと昇華させた、あまりにも美しく残酷な愛の記録です。中山美穂が見せる、知性と怨念が同居する冷徹な佇まいと、高岡早紀が体現する無邪気なまでの強欲さ。この対照的な二人の女性が織りなす、数十年越しの執着の連鎖が放つ緊張感に、観る者は激しく翻弄されることでしょう。
調教された美青年を演じる竜星涼の危うい色気は、映像ならではの耽美な光と影によって神格化され、鑑賞者を禁断の領域へと誘います。これは単なる愛憎劇ではありません。他者の人生を根底から支配することでしか己を保てない人間の深淵な孤独と、その果てにある虚無を鋭く突きつける、映像美に満ちた心理サスペンスの白眉といえます。