この作品の真髄は、障がいを抱える家族の日常を「同情」ではなく、圧倒的なユーモアで描き切った点にあります。従来の福祉ドラマにありがちな感傷を排除し、不条理を痛快に笑い飛ばす脚本の切れ味は圧巻です。主人公の不自由さを物語の推進力に変え、家族が「普通」という枠組みを軽やかに超えていく姿は、観る者の価値観を鮮やかに塗り替えます。
ミニー・ドライヴァーが見せる、なりふり構わず家族を鼓舞する母親像の凄まじい熱量と、絶妙な家族の掛け合いが作品に類まれな生命力を与えています。笑いの裏側に流れる、真の多様性と尊厳を肯定するメッセージは、私たちの心に熱く突き刺さるはずです。不屈の精神を最高級の喜劇へと昇華させた、現代コメディの到達点と言える傑作です。