ハリー・ボールとルイ・ジュヴェという伝説的巨星が火花を散らす本作は、人間の尽きせぬ強欲を極上の哄笑へと変貌させる、フランス喜劇映画の至宝です。ボールが放つ圧倒的な野性的生命力と、ジュヴェが醸し出す冷徹な知性が絡み合う様は、まさに銀幕でしか味わえない至高の心理戦。俳優陣の怪演が、欲にまみれた醜い人間模様を、奇妙なまでの様式美へと昇華させています。
ベン・ジョンソンの古典戯曲をシュテファン・ツヴァイクらが再構築した本作は、映像ならではの接写や陰影を用いることで、舞台以上に登場人物の「醜い本音」を生々しく露わにします。言葉のレトリックを超え、微細な表情の変化で人間の滑稽さを突きつける演出は、原作の持つ鋭い風刺精神をより研ぎ澄ませ、時代を超えて観る者の心を射抜く痛烈な傑作へと進化させているのです。