地獄というおどろおどろしい舞台を、淡々とした「日常」として描く独創的な世界観が本作の真骨頂です。超常的な伝説を事務的な組織運営の論理で解釈し直すシニカルなユーモアは、観る者の常識を鮮やかに裏切ります。凄まじい情報量の美術と、静謐な中に毒を含んだ演出が、地獄を奇妙に魅力的な場所へと変貌させています。
細谷佳正や杉山紀彰ら実力派キャストが織りなす絶妙な間とリズムは、滑稽さと残酷さが同居する空気感を見事に体現しています。効率を尊ぶ冷徹な主人公の姿を通して、現実世界の不条理を笑い飛ばすような、痛快で知的なエネルギーに満ちた一作です。