本作の真髄は、本音と建前という普遍的な葛藤を、ファンタジックな設定を通じて鮮烈に描き出した点にあります。カントク氏による透明感溢れる原案を、瑞々しい色彩設計と演出で見事に映像化しており、梶裕貴の熱量ある演技と小倉唯の静謐な表現の対比が、失われた感情への切実さを浮き彫りにします。
原作ライトノベルが持つ叙情的な文体を、アニメならではの光の描写や空気感で昇華させている点も特筆すべきです。映像化によってキャラクターの愛らしさが強調されつつも、その裏側にある青春の孤独や再生という深淵なテーマを、映像でしか成し得ない繊細なニュアンスで伝えており、観る者の心に深く突き刺さる傑作といえるでしょう。