本作の真骨頂は、バイエルンののどかな風景と、そこで繰り広げられるシュールでシニカルな人間模様の対比にあります。日常に潜む滑稽さと人間の不完全さを肯定する温かみが底流にあり、クリスチャン・トラミッツらの計算し尽くされた絶妙な掛け合いは、観る者を中毒的な魅力で引き込みます。
特に、皮肉屋なフーベルトと憎めないギルヴィッツの凸凹コンビによる化学反応は圧巻です。事件解決以上に「日常の愛おしさ」を描き出す演出は、映像ならではの間合いとユーモアが見事に結晶化しています。熟練の演技が光る、至高のエンターテインメントとして必見の一作です。