本作はゼロ年代の混沌を真空パックした金字塔です。堤幸彦の変幻自在な演出と宮藤官九郎の鋭い脚本が、ストリートの喧騒を唯一無二のポップ・アナーキズムへ昇華させました。長瀬智也ら俳優陣の熱量は、閉塞感を打破しようとする若者の魂を体現し、社会の歪みを射抜くメッセージを今なお鮮烈に放ち続けています。
静謐なハードボイルドの原作を、多動的な群像劇へ再構築した点が映像化の白眉です。活字の独白を色彩豊かな映像とユーモアへ変換したことで、原作にはない刹那的な街の呼吸と爆発力を可視化しました。メディアの特性を活かしたこの大胆な改変こそが、本作を不滅の伝説へと押し上げた「映像の勝利」と言えるでしょう。