あらすじ
巨大コンピューター・ユピテルが全てを支配する電脳都市タナグラのエリート人工体“ブロンディ“のイアソン。
一方、歓楽都市ミダスの最下層にいる”スラムの雑種“リキ。
二人が偶然に出会ったことから物語は始まる―――。
権力に跪くことも媚びることもしないリキに興味を示すイアソン。
相容れない二人はやがて主人とペットという歪んだ形で結びつく。
そして運命は廻りはじめる―――。
否応なく周囲を巻き込んで。
愛と憎悪が絡み合う、それぞれの終焉へと……。
作品考察・見どころ
階級社会の極致を描いた冷徹な美学と、支配を超越した魂の共鳴が本作の真骨頂です。三木眞一郎氏の氷のような静謐さと伊藤健太郎氏の剥き出しの咆哮がぶつかり合う演技は、単なる愛憎劇に留まらない、尊厳を懸けた戦いとして観る者の胸を貫きます。
吉原理恵子の伝説的小説を映像化した本作は、原作の深淵な心理描写を、映像ならではの色彩と静寂で再構築しました。無機質な未来都市の造形が二人の格差を残酷に際立たせ、逃れられない宿命を「楔」として視覚的に刻みつけます。原作の哲学性を継承しつつ、声優陣の圧倒的な熱量が究極の愛を五感に訴えかける、至高の表現に到達しています。