極彩色の迷宮に迷い込んだかのような、前衛的な視覚演出こそが本作の真骨頂です。実写とアニメが混濁する独自の表現手法は、精神を病んだ患者が抱く歪んだ世界観を克明に描き出し、観る者の五感を激しく揺さぶります。固定観念を打ち砕く実験的な映像美は、現代社会の抑圧からの解放を象徴しており、圧倒的な熱量を持って迫ってきます。
伊良部を演じ分けるキャスト陣の怪演も白眉です。奇抜な治療を通じて浮き彫りになるのは、誰もが抱える心の弱さと、それを包み込む奇妙な優しさです。本作は「普通」という言葉に縛られ、息苦しさを感じるすべての人々に捧げられた、毒気と愛に満ちた最高のセラピー映像体験と言えるでしょう。