あらすじ
最愛の母を病気で亡くしたエルリック兄弟は、母を生き返らせようと考えた。 幼くして高い錬金術の能力をもつ二人は自らの能力を過信し、禁忌とされる『人体錬成』に手を出した。 その結果、兄・エドワード(エド)は左足を失い、弟・アルフォンス(アル)は肉体を失い魂だけの存在となってしまった。 自らの右腕と引き替えにエドは、近くにあった鎧にアルの魂を定着させた。 エドは、幼なじみのウィンリィが作った義肢・「オートメイル(機械鎧)」を身につけ、師の教えに背き国家錬金術師(軍属)となった。 自分たちの体を取り戻す鍵となる「賢者の石」の謎に迫る為に。
作品考察・見どころ
本作の真髄は、等価交換という冷徹な法則を通じ、人間の業と命の尊厳を突き詰めた重厚なドラマ性にあります。朴璐美と釘宮理恵が吹き込む切実な声は、喪失と希望の狭間で揺れ動く兄弟の葛藤を痛烈に描き出し、観る者の心を激しく揺さぶります。単なる冒険譚を超えた、生きる意味を問う哲学的な響きが全編に満ちています。
抑制の効いた色彩と哀愁漂う映像美が、物語の悲劇性を際立たせます。正義と悪の境界で苦悩する人々の姿は、視聴者に生きることの痛みを突きつけますが、同時に理不尽な世界へ抗う強さも教えてくれます。この血の通った人間賛歌こそが、本作を唯一無二の名作たらしめているのです。