ベルリンの喧騒を舞台に、警察官という職業の冷徹な現実と人間的な脆さをこれほどまでに生々しく描いた作品は稀有です。手持ちカメラを多用したドキュメンタリータッチの映像は、現場の焦燥感と緊張を視聴者の肌に直接叩きつけ、正義と汚職が紙一重で交錯する極限の心理状態を見事に浮き彫りにしています。
ゲッツ・シューベルトをはじめとする実力派キャストが体現するのは、ヒーローではなく葛藤にまみれた一人の人間です。事件解決の爽快感よりも、職務が私生活を侵食し、倫理観が摩耗していく過程に焦点を当てた演出は、既存の刑事ドラマの枠組みを根底から覆します。人間の深淵を覗き込むような重厚な人間ドラマこそが、本作の真骨頂と言えるでしょう。