聖職者の頂点にありながら欲望を追求する一家の姿は、ジェレミー・アイアンズの圧倒的な演技によって、背徳的かつカリスマ的な魅力へと昇華されています。神の名を隠れ蓑にした権謀術数は、正義と悪の境界を溶解させ、観客を禁断の権力闘争へと誘います。
絢爛豪華なルネサンスの様式美と、血生臭い愛憎劇のコントラストこそが本作の真骨頂です。重厚な映像が映し出すのは、救済ではなく支配。家族という絆に縛られながら野心を燃やす彼らの業は、人間の根源的な欲求を鮮烈に浮き彫りにする、至高のピカレスク・ロマンと言えるでしょう。