ケネディ家という巨大な神話を、政治の表舞台ではなく一族の「血脈」から解体した本作は、野心と愛執が渦巻く極上の人間ドラマです。アネット・オトゥールが体現する、慈愛と鉄の意志を併せ持つ母親像の圧倒的な存在感は、単なる伝記作品の枠を完全に超越しています。
抑制の効いた演出が浮き彫りにするのは、一族が栄華を極める裏で払うべき残酷な代償です。若き日のケイシー・アフレックら実力派が織りなす緊密なアンサンブルは、歴史の荒波に翻弄される個人の孤独を鮮烈に描き出し、観る者の魂に「家族という名の宿命」を深く刻みつけます。