本作の真髄は、美への偏執的な愛が生み出す冷徹な様式美にあります。西島秀俊の硬質な存在感と市川染五郎の浮世離れした透明感が衝突し、犯罪を超えた芸術的倒錯が画面に焼き付けられています。
活字の耽美な世界を、ドラマ版は視覚という直接的な手段で具現化しました。言葉では捉えきれぬ標本の妖艶さを、美術の極致で現実へ引きずり出した点に映像化の妙味があります。
生身の俳優が演じることで、永遠への渇望はより生々しい毒となって観る者の肌に迫ります。静謐な狂気の果てに孤独を炙り出した、映像でしか到達できない表現の極北です。