出崎統監督による映像美は、まさに情念の結晶です。代名詞であるハーモニー処理や劇的な光の演出が、主人公・岡ひろみの苦悩と成長を神話的な高みへと押し上げています。水谷優子さんの繊細かつ力強い声の演技が、孤独な戦いの中にある魂の叫びを見事に体現しており、観る者の胸を激しく揺さぶります。
原作漫画の持つ自己超越という壮大なテーマを、映像ならではのスピード感と情感豊かなカット割りで再構築した点が本作の白眉です。紙面では描ききれないコート上の静寂と熱狂の対比、そして宗方仁が遺した愛という名の重圧を、音と光によって肉体化させた本作は、原作への深い敬意を保ちつつも、独立した映像芸術としての気高さを放っています。