自己中心的な雑誌編集者が、唯一そばに残った柴犬をきっかけに、訳ありの仲間たちと犬専門雑誌を立ち上げ、人と犬の絆を通して傷ついた心を癒していく物語。
この作品の真髄は、犬という予測不能な命に向き合う人間たちの熱量と、静謐ながらも雄弁な柴犬の存在感にあります。大東駿介の真っ直ぐな芝居と飯豊まりえの柔らかな感性が、編集部という戦場で愛を形にする尊さを描き出し、片桐はいりの凄みが物語に唯一無二の深みを与えています。 原作の持つ緻密なエピソードを継承しつつ、映像版の最大の武器は、生きている犬だけが放つ微細な感情表現です。紙面では捉えきれない耳の動きや息遣いが、実写ならではの圧倒的な説得力を持って心に響きます。メディアの枠を超え、生命への慈しみを五感で感じさせる、極上の映像体験と言えるでしょう。
脚本: 徳尾浩司