音楽への情熱を失った高校生・早川は、同級生・紺野との出会いをきっかけに心を取り戻していく。屋上で育まれる特別な関係の中で、やがて彼の中に芽生えた感情が友情を超えたものであると気づいてしまう。
本作が提示するのは、レンズ越しに切り取られる一瞬のきらめきと、その背後に隠された剥き出しの感情の交錯です。タイトルの通り「ピントの合う範囲」を象徴的に用いた演出が白眉であり、登場人物たちの距離感や心の機微が、静謐ながらも熱を帯びた視覚的コントラストによって鮮烈に描き出されています。 宇佐卓真と平野宏周が見せる繊細な視線のやり取りは、言葉以上の説得力を持って観る者の心に深く突き刺さります。さらに崎山つばさが放つ確かな存在感が物語に重奏的な深みを与え、単なるドラマの枠を超えた、人間の孤独と慈愛を描き出す至高の映像芸術へと昇華させています。
監督・制作: 苑生
脚本: 一戸慶乃 / 苑生
制作会社: Fuji Creative Corporation