離婚問題に頭を悩ませる1人の父親が、組織犯罪の世界へと巻き込まれていく。息子の命が助かるかどうかの瀬戸際で、窮地に追い込まれた父親は一体どうする?
本作の真髄は、善良な市民が悪意の渦に飲み込まれていく過程を、残酷なまでのリアリズムで描いた点にあります。主演のジハンギル・ジェイハンの魂を削るような熱演は、家族を想う愛と背徳的な没落という矛盾を見事に体現。暗影の深い映像美が、極限状態で揺れ動く人間の脆さと強さを際立たせ、観る者の倫理観を激しく揺さぶります。 一つの選択が破滅へと連鎖する緊迫感は、映像ならではの緩急によって増幅され、観客を息つく暇もない心理的迷宮へ誘います。不条理な現実の中で、正義と悪の境界線が曖昧に溶けていく様は圧巻。現代社会の闇を射抜くような鋭いメッセージ性を孕んだ、魂の震える重厚な人間ドラマです。
制作会社: Idea Film