1950年代のブラジルを舞台に、広告業界という華やかな表舞台と裏側の情念を鮮やかに切り取った本作。最大の魅力は、時代考証に基づいた美しいビジュアルの中に、人種やアイデンティティという普遍的かつ現代的なテーマを深く刻み込んでいる点にあります。
ドゥダ・サントスの力強い瞳が映し出す意志の強さと、マイーザ・シルヴァが見せる複雑な悪役としての存在感が、作品に凄まじい熱量を与えています。ベテラン陣の重厚な演技が若手の瑞々しさを引き立て、運命に抗い自らの手で未来を掴み取ろうとする人間の尊厳を、圧倒的な映像美で描き切っています。