あらすじ
難聴になって以来、人と距離を置くようになってしまい独り静かに過ごしていた大学1年生の杉原航平(中沢元紀)。そんな時に出会ったのは、明るくまっすぐな性格の同級生・佐川太一(小林虎之介)だった。お腹を空かせていた太一にお弁当をあげたことがきっかけで、太一は航平のノートテイクのボランティアを引き受けることに。土⾜で航平の⼼にずかずかと踏み込んでくる太一の性格に、いつしか居⼼地の良さを感じるようになった航平は…。
ノートテイクを介して繋がってゆく、不器⽤な2人の⼼を繊細に描いた、切なくも儚いヒューマンラブストーリー。
作品考察・見どころ
本作の魅力は、聴覚障がいを巡る葛藤を、静謐かつ鮮やかな心の交流として描き出した点にあります。中沢元紀が体現する繊細な「静」と、小林虎之介が放つ太陽のような「動」の演技が完璧なコントラストを成し、他者と分かり合いたいという根源的な願いを、美しい映像の中に昇華させています。
「聴こえる」とは単なる耳の機能ではなく、相手の心に深く寄り添うこと。そんな温かなメッセージが、手作りの弁当や柔らかな光の演出から溢れ出します。孤独を抱える魂が救われていく過程はあまりに尊く、観る者の心に静かな感動と再生の光を灯してくれる珠玉のドラマです。