ホアキン・マンチャドはバルセロナの港から、自身の麻薬帝国を情け容赦もなく支配してきた。だが、新たな密輸の積み荷をめぐり、彼の麻薬ビジネスと家族は混乱の渦に引きずり込まれてゆく。
バルセロナの巨大な港湾を舞台に、錆びついたクレーンと鉄のコンテナが支配する冷徹な世界観が圧巻です。無機質な産業風景が、血生臭い権力闘争と見事に融合し、逃げ場のない閉塞感を演出しています。監督の卓越した空間演出により、港そのものが一つの意志を持つ巨大な迷宮のように機能し、観る者を重厚なサスペンスの深淵へと引きずり込みます。 チノ・ダリンやハイメ・ロレンテら実力派キャストが魅せる、欲望と裏切りが交錯する剥き出しの演技から目が離せません。何世代にもわたる支配と愛憎が、鉄の手という象徴的なモチーフを通して描かれ、暴力の連鎖が人間の尊厳をいかに蝕むかという普遍的な問いを突きつけてきます。抗いようのない運命に翻弄される者たちの、魂の叫びを感じさせる傑作です。
監督・制作: Lluís Quílez
制作会社: The Mediapro Studio