本作は、時の流れという見えない調べに合わせて踊り続ける人々の、滑稽でいてどこか愛おしい悲哀を極めて優雅に描き出しています。特筆すべきはサイモン・ラッセル・ビールが見せる圧巻の演技です。野心と劣等感に歪むキャラクターを凄まじい実在感で体現しており、その一挙手一投足から目が離せません。
映像作品としての最大の魅力は、数十年にわたる歳月を、光の移ろいや俳優の表情の変化だけで語り尽くす演出の妙にあります。言葉に頼らずとも、過ぎ去りし時代の空気感や、運命という残酷な円環の美しさを視覚的に捉え切っています。一度観れば、人生のままならなさが愛おしくなる、至高の人間ドラマです。