1940年代の療養所という閉塞的な舞台を、洗練されたユーモアで昇華させた手腕は見事です。死と隣り合わせの空間で繰り広げられる滑稽な人間模様こそが本作の真髄であり、限定された環境だからこそ浮き彫りになる人間の愛すべき愚かさが、観る者の心に深い余韻を残します。
若きヒュー・ボネヴィルらの絶妙なアンサンブルは、言葉の応酬だけで極上の笑いを成立させています。階級意識の衝突の裏には、不自由な日常で希望を分かち合う普遍的な友情への賛歌が込められています。困難な時代を笑いで生き抜く人間の強さを描き出した、魂を震わせる傑作です。