あらすじ
かつては社会部の敏腕記者で、今は文化部のグルメ担当をしている北川万年。彼は友人の死に疑問を抱き、グルメ取材の企画を申請し事件の謎を追う。
作品考察・見どころ
西郷輝彦氏が体現する、男の哀愁と記者としての矜持が混ざり合った演技こそが本作の核心です。妻を亡くした設定が単なる記号に留まらず、社会の闇に光を当てる際の優しさと鋭さの源泉となっている点が秀逸です。細川直美氏との絶妙な掛け合いは、ミステリーの中に人間味溢れる温もりを添え、観る者の心を強く惹きつけます。
事件の裏側に潜む人間の業や孤独に寄り添う演出も見事です。現場を歩き倒す泥臭い取材スタイルは、真実とは足で稼ぐものだという熱いメッセージを投げかけています。失意の中でも誰かのために走り続ける主人公の背中は、観る者に明日を生きる勇気と、真実を見極める心の強さを教えてくれる珠玉の人間ドラマと言えるでしょう。