弁護士の女性は、殺された父が過去に別人として人生を送っていたことを知る。報復を決意した彼女は、ガリシア州で暗躍する麻薬密売組織に接触し、その中心人物の懐に入り込んでゆく。
スペイン・ガリシアの荒々しい海辺を舞台に、復讐と情愛が火花を散らす本作の魅力は、静謐ながら息の詰まる緊張感にあります。弁護士と麻薬組織という正反対の立場が交錯する中で描かれるのは、善悪の境界線が溶けていく極限の心理戦です。冷徹な運命に抗う人間の熱量が、冷たい海風の情景と見事に共鳴し、観る者の心を深く抉ります。 クララ・ラゴとタマール・ノバスが魅せる、眼差し一つで過去を語る圧倒的な演技力は圧巻です。血縁の呪縛と個人の意志、そして正義という名の欺瞞が絡み合う物語を、映像は執拗なまでに美しく、残酷に映し出します。単なる犯罪劇を超え、家族という名の「業」を白日の下に晒す本作は、現代サスペンスの深淵を覗かせる傑作と言えるでしょう。
監督・制作: Jorge Guerricaechevarría
制作会社: Vaca Films