あらすじ
大学4年生・結城櫂と聴覚を失った萩尾沙絵の恋愛を、彼らを取り巻く友人たちとの交流を交えながら、若者の姿を繊細なタッチで描いていく。
作品考察・見どころ
大学卒業を控えた若者たちの輝きと焦燥を、夕景の如き切なさで描いた演出が白眉です。手話という心の言葉を通じ、音を失った世界で魂をぶつけ合う二人の交感にこそ本作の本質があります。柴咲コウの鋭くも繊細な瞳と、妻夫木聡の体温を感じさせる演技は、静寂の中にこそ真実の対話が宿ることを証明しています。
五人の瑞々しいアンサンブルは、二度と戻らない季節の残酷なまでの美しさを際立たせます。他者と深く繋がる喜びと痛みを真正面から刻んだ本作は、単なる青春群像劇を超え、観る者の心に生涯消えないオレンジ色の熱を灯し続ける傑作です。