泥棒一家の中に生まれた「正直者」という、価値観が逆転した設定が放つシュールなユーモアが本作の真骨頂です。泥棒こそがエリートとされる家庭で、正しくあろうと奮闘する少年の葛藤を、アクセル・アデロウが等身大の魅力で好演しています。常識の枠組みを軽やかに超える演出は、大人には社会の固定観念を問い直し、子供には自分らしく生きる勇気を与えてくれます。
デヴィッド・スンディンらの緩急自在な演技が、滑稽ながらも深い愛に満ちた唯一無二の家族像を鮮やかに提示します。北欧らしい洗練された映像美とクリスマスの幻想的な空気が、異色な一家の絆を温かく包み込み、観る者の心に心地よい余韻を残します。個性の多様性と無償の愛を肯定する力強いメッセージ性に満ちた、心躍るファミリードラマの傑作です。