あらすじ
巨大隕石が地球に落下する。地球滅亡まで、あと10日。
生きがいのない日々を送っていたサラリーマンの仁科真澄は、残された時間を静かに過ごそうと、母校の大学図書館を訪れる。そこで偶然再会したのは、かつて自分を深く傷つけた男・日下部律だった。真澄は大学時代同じサークルに所属していた律に次第に惹かれていき、特別な関係へと発展していったが、性に奔放な律に裏切られ捨てられてしまう。それ以来、真澄にとって律は二度と会いたくない男だった、はずだが――。
真澄と律が過ごした学生時代の甘い夜から、二度と太陽が昇らない地球滅亡の最期の日まで。果たして2人は、世界は、どうなってしまうのか。もどかしくて愛おしい、ドキドキとズキズキが交錯する、終末ボーイズラブストーリー。
作品考察・見どころ
本作の真髄は、地球滅亡という巨大な絶望を背景に、極めて私的な人間の機微を「ミクロ」な視点で抉り出した点にあります。瀬戸利樹と中田圭祐が体現する、過去の傷を抱えた二人の生々しい感情の奔流は、観る者の胸を焦らすほどの熱量を放ちます。終わりが確定した世界だからこそ際立つ、刹那的な美しさとエゴイズムが混在する映像表現は、まさに息を呑む完成度です。
絶望の淵で交わされる眼差しや、吐息さえ伝わるほどの親密な演出は、映像ならではの没入感で愛の身勝手さと尊さを鋭く突きつけます。限られた時間の中で、誰とどう魂を分かち合うのか。本作が提示する鮮烈な死生観は、日常に埋没しがちな私たちの情動を激しく揺さぶり、鑑賞後も消えない深い余韻を残すことでしょう。