本作の最大の魅力は、主演のアンナ・マリア・ミューエが体現する静謐さと狂気が同居した存在感にあります。死を扱う葬儀屋という職業が、復讐の修羅へと変貌していく過程はスリラーの枠を超え、魂の叫びを感じさせます。アルプスの冷徹な風景と剥き出しの感情が交錯する映像美は、観る者の心に深く突き刺さるでしょう。
愛する者を失った絶望がどれほどの力を持つのか。本作は、観る者の倫理観を激しく揺さぶる鮮烈なメッセージを突きつけてきます。緻密な演出で描かれる人間の業と再生の物語は一瞬たりとも目が離せません。極限状態の人間が見せる恐ろしくも美しい真実を、ぜひその眼で目撃してください。